今回は会社案内におけるライティング(文章内容)について、解説しようと思います。

画像や写真・デザインは読み手の注意を引くための「表面」である一方、ライティングは言わば「中身」に該当する部分です。

  • 伝えたいことをきちんと表現できているか?
  • 読みやすい構成で書かれているか?
  • ターゲットに則した書き方ができているか?

つまるところ、「読まれる文章」とは、読み手を意識した文章に他なりません。多くの読者は「読みやすいから読む」のであり、「読むからこそ理解できる」のです。

では、「読まれる文章」とは具体的にどのようなものか…気になりますよね。読みやすい会社案内を作るためにも、その全貌を見て行きましょう。

的確に伝わる表現とは?

日本語は他の言語と比べて表現の幅がとても広いところが特徴です。ある1つの文章を取っても、実に様々な表現に書き換えることができます。

例えば、昨今世間を賑わせる「東京の雪」を言い換えるにしても、

  • 首都に降り積もる冬場の雪
  • 冬の東京を覆う白い雪
  • 日本の中心に舞う六花(雪の別称)

事務的な表現ばかりでは、どうしても単調になり飽きを感じてしまうもの。会社案内を制作する際も、TPOを外さない範囲で言い回しを工夫することが大切です。

文章は長さを意識する

文章を短くすることは、最も重要なテクニックの1つです。長く作られた文章は情報量が多すぎて読みにくく、「伝えたいこと」が曖昧になってしまいます。 こちらも、具体的な文例を見てみましょう。

「デザイン会社であるファインプロス」をテーマに、短い文章と長い文章で説明したものです。

1 ファインプロスはデザイン制作会社です。
会社案内やパンフレットの制作を得意としています。
適正価格でありながら、お客様とのコミュニケーションを重視した制作スタイルにより、「なるほど!」と伝わる高品質な制作物をお届けいたします。
2 ファインプロスはコミュニケーションを重視したスタイルを得意とし、適正価格かつ高品質な、「なるほど!」と伝わる会社案内や営業用パンフレットを制作している企業です。

恐らく、多くの方が短く区切った1の文章を読みやすいと感じたかと思います。必要な情報を的確に読み手に伝えるためには、

  • 文章の長さを短く、適度に区切る。
  • 情報量が多い場合は、複数の文章に切り分ける。
  • 大切な情報を最初に伝える。

このように、上記3点を留意することが大切です。

最初に重要なことを書く

伝わる文章を書く時は、最も重要なことを「最初に書く」ことが大切です。伝えたいことを冒頭で訴えかけることで、読み手は

  • 文章全体を通して何を言いたいのか。
  • どのような部分に注意して読むべきか。

を把握することができます。

同じ文章を読むにしても、文章全体のテーマを知っているか否かで、その理解度はまるで異なるもの。最も伝えたいことを最初に訴えかけた文章は、読み手の二度読み三度読みを防ぐ、優しい配慮の文章でもあります。

読み手の飽き対策も

もちろん、全ての文章をこのような形式で作れば良いというものでもありません。教科書や参考書ならそれでも構いませんが、会社案内やパンフレットなど、新規の相手に比較的多くの情報を伝える場合、「同じ表現技法・文章構成の繰り返し」では、読み手が飽きてしまうからです。

読み手に配慮した対策も必要とされています。

  • 書き出しの代わりに「見出し」で答えを書いてしまう
  • 主語や述語の順序を入れ替える
  • 同意語を使い分けることで単調さを解消する
  • 重要なことを見出しに書き、本文の書き出しにてそれらを説明する。
  • 主語や述語を入れ替えることで、文章の勢いに緩急をつける。

これらはいずれも、「読まれる会社案内」のために必要なテクニック。状況に応じて使い分けることで、自社のアピール力を2倍にも3倍にも高めることが可能です。

難しい単語を使い過ぎない

特に注意が必要な部分です。会社案内など「人に読ませる文章」を書くときは、常に読み手の読解力を意識しなくてはなりません。

難解な漢字を排除して作られた会社案内の例

Good 当社製品は「底にたまった成分」を効果的にかき混ぜる。
Bad 当社製品は「底面に沈殿した澱」を効果的にかき混ぜる。

底面に沈殿は固く難しい印象を与える。また、澱(おり)は読みにくく、意味を理解していない読者も多い。

想定読者を的確にとらえた表現のパンフレット例(想定読者70代・男性)

Good 事故が起きた時もすぐにスタッフが駆け付けます。わからないことも丁寧にお答えするので安心です。
Bad インシデント発生時も弊社スタッフが早急に対応。ご不明点やご指摘も的確にレスポンス致します。

インシデントやレスポンスなど過度な英語表現は理解されない可能性が高く、一般的に理解しやすい表現に言い換える。「丁寧」などクッションワード使用する。

これらはほんの一例ですが、どちらも読み手を意識した基本的な記載方法です。

リサーチや取材能力の重要性

ライティングを制作会社に依頼する場合、その企業の「リサーチ能力・取材方法」にも注目することをオススメします。 制作スタッフがどれほど優れた文章能力を有していても、リサーチや取材を通じて十分な情報が得られなければ、魅力的な会社案内を作ることは難しいものです。

効果的な情報収集を行うためには、

  • クライアントは自社をどのように表現したいのか?
  • 自社が注力していることや、得意とする部分はどのようなものか?
  • クライアントは今後の展開や課題についてどう考えているか?

など、上記ポイントを中心に、リサーチや取材を通じて的確に聞き出さなくてはなりません。限られた時間で必要な情報を収集するには、インタビュワー(取材する側)にテクニックが求められてきます。

効果的に「取材してもらう」ためのテクニック

では、短い時間の取材で必要な情報を伝えるためには、どのようなことに配慮すべきか。多くの方が気になってしまう部分かと思います。

魅力的な会社案内を制作する際には、「取材しやすい・されやすい」環境づくりが大切です。具体的なポイントは以下の通りです。

事前に「取材目的や質問内容の概要」を明示してもらう

伝えるべき内容を整理することができる。何を質問されるか知ることで、話の方向性もイメージできる。事前通知は複数のメリットを有したコンタクトであり、単なる挨拶ではありません。依頼した制作会社の能力や質も、この事前通知の内容で判断できます。

伝えたいことを整理した用紙を準備する

インタビュワーがメモや記録に専心していては、会話のテンポが悪く、話も盛り上がりません。本来インタビュワーが配慮すべき部分ですが、インタビュイー(取材される側)が準備するのも効果的です。

意見や提案を求める

魅力的な案や表現方法が「対話」から生まれることも少なくありません。発した意見に対して、インタビュワー側の提案や見解を求めることも、より良い会社案内を作るためのテクニックです。

まとめ

今回は、会社案内の中身を決定付けるライティングについて解説を進めました。良質な文章を生み出すためには、ただ伝えたいことを並べ書くだけでは不十分。

  1. 伝えたいことを読みやすく記した文章内容
  2. ターゲットを的確にとらえた表現方法
  3. 良い記事を生み出すために求められる取材能力

上記3点に対する配慮が不可欠です。また、実際に会社案内を制作する際は、これらを意識しながら、多彩な表現方法の使い分ける形になります。

会社案内は文字通り「会社の顔」とも言えるツールです。良質な会社案内を生み出すためにも、これらのポイントを押さえた制作会社の選定を行いましょう。