カタログや会社案内パンフレットの印象は、使用する「フォント」によって大きく変わります。伝えたい相手(顧客)に、狙った印象を与えるためには、商品・サービスに適したフォント選択が重要です。

今回は、カタログ・会社案内パンフレット制作に欠かせないフォントの知識についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

基本的なフォントの種類とメリットデメリット

チラシやカタログ、会社案内パンフレットなどで使用されているフォントは、主に下記4種類です。

フォント名 与える印象
明朝体 真面目、誠実、信頼、安心感、落ち着き
ゴシック体 直線的、力強い
筆書体(楷書・行書・草書) 高級感、和風、格式高い、固い
手書き風 親しみやすい、アットホーム、可愛い

それぞれ、詳しく見ていきましょう。

1. 明朝体

明朝体は、縦線を太く横線を細くまとめた活字風のフォントです。トメ・ハネが他のフォントに比べはっきりしているので、小さな文字でも読みやすく、小説の本文や雑誌の説明書きなどに多く用いられています。明朝体が与える印象は「真面目」「誠実」「信頼」などです。

様々な分野の印刷物で長年使用されているフォントですので、日本人にとって馴染みやすいというメリットがあります。カタログや会社案内パンフレットの説明文などに使用すると良いでしょう。

デメリットとしては、多くの印刷物で使用されている分、新鮮味に欠ける点が挙げられます。パンフレット内全ての文章を明朝体で制作してしまうとシンプルすぎてしまう可能性がありますので、タイトルやキャッチコピーなど特に伝えたい部分は、他のフォントに変更するなど工夫が必要です。

2. ゴシック体

ゴシック体は縦横のバランスを均一にした視認性重視のフォントです。遠くから見てもはっきりと見分けることができるため、ポスターや屋外看板などに多く使用されています。明朝体と比べ全体的に線が太く、「直線的」「力強い」などの印象を与え、文章を一目で理解してもらえるメリットがあります。

しかし、ゴシック体の「線の均一性」や「バランスの良さ」は、裏を返すと「特徴がない」といったデメリットに繋がる可能性もあります。英語と比べ画数の多い日本語では、トメやハネ、線の強弱、漢字・平仮名の文字サイズの違いが可読性(読みやすさ)のポイントとなります。ゴシック体はこれらのポイントを押さえてはいないため、長文での使用は控えた方が無難でしょう。

3. 筆書体(楷書・行書・草書)

筆書体は筆書きした文字のフォントです。楷書・行書・草書など複数の種類があります。冠婚葬祭など儀礼的なシーンで多く用いられ、「高級感」「和風」「格式高い」印象を与えます。筆書体の雰囲気に合う分野の商品・サービスにおいては最適な書体と言えるでしょう。

しかし、読み手の年齢層によっては、筆書体で書かれた文章に「難しそう」「高そう」などマイナスな印象を持たれてしまう可能性もあります。ターゲット層に注意し、全体のバランスを見て使用するようにしましょう。

4. 手書き風フォント

手書き風フォントは、様々な種類があります。手書き風フォントを使用する最大のメリットは「親しみやすさ」です。一般的な印刷物に多く使用されている明朝体やゴシック体に比べ、フォント自体に個性があり、読み手の興味を引きます。バリエーションも多く、女性的でかわいらしいデザインも豊富なため、商品・サービスに適したものを選択することで効果的にPRができるでしょう。

手書き風フォントでは変換されない文字も存在します。また、拡大印刷に不向きなものもありますので、会社案内パンフレットに使用する際は確認が必要です。

UD(ユニバーサル・デザイン)フォントについて

昨今、「UD(ユニバーサル・デザイン)フォント」の普及が広がっています。UDフォントは、従来の明朝体・ゴシック体などを読む際に起こる目の負担や刺激の解消を目的にデザインされた「バリアフリーフォント」の総称です。

UDフォントは以下の点に優れています。

視認性 文字一つ一つの構成要素を視認しやすくする
判読性 誤読しにくく、他の文字との判別をわかりやすくする
デザイン性 シンプルさ、美しさ、整理、整合性を持つ
可読性 文字例としての単語、文章の読みやすさ

急速に進む高齢化に比例して、UDフォントの種類も今後さらに増えていくでしょう。読みやすくデザイン性の高いフォントですので、カタログや会社案内パンフレットにUDフォントを使用する企業も増加していくと考えられます。

会社案内パンフレットの”読みやすさ”を向上させるテクニック

見やすく、デザイン性の高い、商品の雰囲気に合ったフォントを選択したとしても、それらが直接「読みやすさ」に繋がるとは限りません。会社案内パンフレット制作時に気をつけるべきポイントについてご紹介します。

1. 文字間・行間を意識する

文章の文字間・行間の取り方は読者の読みやすさに大きな影響を与えます。デフォルトのままでは見えづらいフォントも、文字間・行間を調整することで改善するケースも多いのです。会社案内パンフレットを制作する際は、それぞれのフォントに適した文字間・行間を意識しましょう。

2. タイトルと本文でフォントを変える

デザイン性の高いフォントは総じて読みにくい傾向があります。説明文などの長い文章は明朝体や教科書体など読みやすさに長けたフォントを使用しましょう。

3. 読者層を考慮してフォントを選ぶ

カタログや会社案内パンフレットのフォントは、ターゲットとする読者層に合わせて決めましょう。その商品・サービスは男性向けか女性向けか。高齢者向けか若年層向けか。読者層に適したフォントにすることで、より効果的なPRとなるでしょう。

まとめ

カタログや会社案内パンフレットに使用される一般的なフォントの種類、メリットデメリットについてご紹介しました。

完成度の高いカタログ・会社案内パンフレットを制作することで、売上アップはもちろん、企業のブランディングや顧客との信頼関係の構築に繋がります。狙った読者層に”刺さる”フォントを選択し、商品やサービスを効果的にPRしましょう。