動画制作の市場規模を測るうえで重要なのが「動画自体の需要がどうなのか?」という点です。

動画自体の需要と比例すると考えられる「動画広告」の市場規模は年々増加傾向にあります。
また、これとは対照的に、テレビやラジオなどのいわゆる「既存メディア」の視聴率は下落傾向です。
特に若年者層に向けて発信する情報媒体としては、以前ほどの広告波及効果を得ることは難しいと言わざるを得ません。

そこで今回は「動画広告の市場規模」を統計情報などから分析し、動画制作の市場規模について整理したいと思います。

インターネット動画広告の市場規模の推移

インターネット動画広告の市場は、急速にその存在感を増しています。

大手IT企業サイバーエージェントの研究機関「オンラインビデオ総研」が示したデータによると、2016年調査時点での国内のネット動画広告の国内市場規模はおよそ「735億円」程度でした。

2012年時点での同市場規模が50億円であった点を考慮すると、その市場規模はわずか数年で14倍以上も膨れ上がっている様子がわかります。

引用:映像制作コンビニ倶楽部(サイバーエージェントの画像)

インターネット動画成長の背景は?

インターネット動画の市場規模が急速に膨張している背景には、「既存メディアの衰退」が指摘されています。
総務省統計局が発行している「平成28年度 情報通信白書」によると、2012年~2015年のテレビメディア及び新聞閲読の行為者率は全体として下落傾向。視聴時間も増減を繰り返しながら、緩やかに減少している様子がわかります。

また、これとは対照的に、ネットの行為者率は年々増加。視聴時間も大きく伸びを見せている点が特徴です。

若年者層は特に顕著

世代別に分析すると大方の予想通り、10代~30代の「若年者層」のインターネット需要は顕著です。

インターネット需要は全世代で増加傾向にありますが、10代~30代のコンテンツ消費時間は非常に大きく、これらの世代では「2016年時点のテレビのリアルタイム行為者率を、ネットコンテンツの行為者率を上回る」という衝撃的な結果が判明しました。

更に言及するならば、10代と20代では2016年時点での視聴時間も逆転。インターネットコンテンツに費やす時間は大きな伸びを見せており、動画制作による広告効果の拡大も期待できます。

引用:総務省「平成28年度 情報通信白書」

動画広告の種類

前述のとおり既存メディアの衰退の原因となっているネットメディアが急速に市場規模を大きくしている昨今、ネットメディアを利用した「動画」で得られる効果を無視することはできません。
ニーズにマッチした動画内容の追求は当然として、「各ウェブ動画の傾向」も分析を重ね、的確なメディア発信を行いましょう。

インターネット動画広告は、主に以下の3つに分類されます。

  • インストリーム広告
  • インフィード広告
  • インバナー広告

インストリーム広告とは?

インストリーム広告は、動画サイトの再生前や再生待機時などに表示される、大きな画面の動画広告です。
(特に動画再生前に表示されるものは「プリロール動画広告」と呼ばれています)

動画サイトのイメージとしては、YouTubeやニコニコ動画などでしょうか。多くの方がご経験しているかと思いますが、希望する動画を閲覧するために必ず視聴する必要があるので、高い効果が期待できます。

動画の傾向は30秒~1分程度で推移。アーンドメディア向けの広告としては、比較的長めのものがメインです。

インフィード広告とは?

インフィード広告は、各ウェブサイトやアプリの隙間に挿入されている広告です。

他のコンテンツに偽装するかのような効果があり、アプリケーションでは上部や下部などに差し込むように挟まれています。

違和感がないので広告として認識されにくく、高いクリック効果が期待できます。

インバナー広告とは?

インバナー広告とは、従来の静止画バナーとなっていた部分です。最近は通信環境・端末の性能が上昇しており、この部分を動画広告に差替える例も増えています。

長さとしては非常に短く、数秒~10秒程度がメインです。

インストリーム広告が大人気
これらの広告の中で、最も高い効果と市場規模を示しているのは「インストリーム広告」です。

下記の市場推計調査によると、2014年~2016年にかけて、いずれもインストリーム広告が大多数を占めています。

ネット動画の需要が高まりを見せる中で、動画サイトの再生前に流れる広告は視聴されやすく、動画の内容でユーザーの関心を引くことができれば、非常に高い広告・波及効果を期待することが可能です。

引用:映像制作コンビニ倶楽部(サイバーエージェントの画像)

動画広告に対するユーザーの反応は?

発信した広告に対するユーザーの反応は、非常に気になる部分かと思います。

  • 動画広告とバナー広告ではどちらが効果的?
  • どんな端末に向けて動画制作すべき?
  • 否応なしに視聴することになるユーザーの反応は?

このあたりを確認してみましょう。

動画広告とバナー広告ではどちらが効果的?

アメリカの動画マーケティング会社「adform社」は、「広告に対するクリック率」について、以下のデータを公表しています。

  • PC向け広告バナー:約0.11%
  • スマートフォン向け広告バナー:約0.27%
  • 動画広告:約0.42%

動画広告は視覚的効果による第一印象が強く、高いクリック率を誇っている点が特徴です。静止画バナー広告の方がコストはかかりませんが、集客効果では動画広告の方が「2倍~4倍」優れていると言えます。

参考:映像制作コンビニ倶楽部

どんな端末に向けて動画制作すべき?

動画制作の際は、「スマートフォン・タブレット向け」に最適化したものをオススメします。

スマートフォン及びタブレットの利用目的を分析したデータによると、これらの端末の利用目的は「動画視聴」の割合が高く、高い閲覧効果が期待できるからです。

引用:映像制作コンビニ倶楽部(サイバーエージェントの画像)

否応なしに視聴することになるユーザーの反応は?

意外なことに、ユーザーの大半は広告視聴を受け入れています。

動画市場は広がりを見せているとは言え、これらの広告はユーザーの意思に関わらず表示されるため「マイナスイメージに繋がる可能性」も否定できません。

また、広告を嫌い、動画サイトの有料会員などに加入し、広告動画を回避している層の割合も、非常に気になるところかと思います。

この点に関して、まずは下記のデータを見てみましょう。

引用:総務省「平成28年度 情報通信白書」

これは総務省がリサーチした、ネット動画視聴における広告に対する意識調査です。

データによると、意外なことに日本国内では多くのユーザーが「広告回避のために金銭を支払うより、動画広告を閲覧したい」と考えていることがわかります。

各国により反応の差はありますが、日本や韓国などでは特にこの傾向が顕著です。

まとめ

インターネット動画の需要が急速な広がりを見せる昨今、莫大なコストを費やしてテレビや新聞などの、既存のメディア広告にのみ頼ったマーケティングは好ましいとは言えません。
統計情報としても既存のメディアが衰退を見せている点は明らかで、どの世代のどんなユーザーをターゲットにするにせよ、ウェブコンテンツ向けの動画活用にシフトチェンジした方が効果的だと言えるでしょう。
その点を考えると、今後動画制作の市場規模は広告の需要と同じように右肩上がりに推移するものと考えられます。

ウェブコンテンツ向け動画広告にも様々な種類が存在するため、発信するサイトや形式に従って、適切な長さ・内容で構成する工夫が不可欠です。
広告発信の際はこれらの点に留意して、動画制作会社に相談することをオススメします。